野良着。
何か無性に野良着というものに惹かれる。
ただ見ているだけではなく、実際に手元にあるはぎれや、穴の開いた布
同じく穴が開いてしまっている様なぼろぼろの着物
そんなものを、実際にもう一度
野良着として作ってみれないのだろうか?
そして、着たい。使いたい。
’野良着とは’
それは一つの形式や裁縫方法。
形があるものではなく、常に変化しその農作業内容により、また時代により
常に形を変えてたもので、特に’これです’と言えるようなものではないらしい。
とにかく、野良着というものが何なのか。
はぎれのつぎはぎの仕方なんか、そのやり方をしりたいと思い、
調べてみるとこんな本に出会いました。
ちらっと本の紹介で、昔の実際の野良着の寸法の写真が載っていたので
そういうのが分かるのかな~と思って興味がわき
この本を取り寄せてみました。
そして本をあけ、1ページ目をめくってみると・・・・
私が最初に抱いていた、なんだかとても’美しい’、センスが可愛い、なんだか愛おしいとか
そんな感覚なんて本当申し訳ないほど。
その野良着から広がる、その奥、その根本にある世界はあまりにも
深く厳かであり、過酷でもあり、でもその中にも美しい強さがあるものでした。
ワクワクした気持ちでめくった本。
その本にはまず、まず農民について、農民の暮らしについて著者の方の記憶なども
いり交えながらとても詳しく書いてあった。
食事の様子、水汲みの様子、家畜とともに暮らした生活、もちろん農作業の様子。
読み進めていくうちに、そんな当時の暮らしの寒さや大変さを感じ
先祖様達に尊敬の念が沸きあがったのか、なんだかどんどんと厳粛な気持ちになり
気づいたら正座をして、めっちゃ背筋ぴーーーーん!となって読んでいた笑
なんだかだら~んと肘をつきながらなんて、読んでいられない。
そして最初のページを読んで
なんで、こんなに引き寄せられるものがあるのか、この著者の福井さんが
こうだからだよと説明してくれるかの様に書いてくれていた。
一枚の長着物が野良着に更正され、貼り合わせたボロ布で厚みを増していき、補強縫いが続けられる。このような野良着の機能とともに女性たちの内面にも光をあててみたい。
野良着 福井貞子著より
野良着の多くは、労働による摩擦や汚染と人体の汗と垢によって布が傷み、消耗していく。
それを半世紀にわたって、天地を逆にし、表と裏を交換して何度も改縫した不定形な衣料である。
人の手を加えながら変化する衣料に込められた愛情は、人の魂を更新させるものがある。
その一端でも解明し、農民の伝統的生活文化の一面を探りたい。
着古しの野良着の魅力は、木綿の柔軟性と、補強されアレンジされた美しさであり、人々が素肌で着用し、体臭のしみこんだ布のぬくもりはまだ失われていない。
ただのビンテージとか、昔の文化だ~とか、そんな容易い言葉で伝わるものではないのだ。
その方が日々行っていた何をしていたのか、何を作っていたのか、
海側にいたのか、山側にいたのか、体のどの部分を一生をかけ使い、土を耕し、
水を運び、手を動かしていたのか。
それは一人一人全員ちがう。
一枚の着物を2枚の野良着に変え、それを何十年も補強を加え加えて何十年も
一生着ていた方がいたと書いてあった。
きっと
その一枚の野良着というものは、ただの服ではないのだ。
一人ひとりの人生、それを時空を超えて目に見える状態で、この世に残ったものなんだと思う。
まだこの本を全部最後まで読みきれていないんだけど
著者も書いていたけれど野良着というのは一つのカテゴリーにおさめることなんてできず、その資料を集めようとすると
あまりにも範囲が広く膨大でとても大変だったそう。
それでも、こういう形で資料として一つの本にまとめあげて頂いた人がいた事にとてつもなくこれまた尊敬と感謝の念が。
そして思う。
野良着というものを知るということは
ただの衣服としてではなく、そこにその衣服を着て日々の暮らしが営まれているという
暮らしが含まれて’野良着’と名前がうてるのだと思う。
もちろん私もつぎはぎなどをして、実際に作ってみたいという気持ちがある。
そしてそれを知ることによって、そして眺めるだけではなく’使う’
体にしみこませることで
一枚を大切に使うという感覚(当時は使わざるおえなかったからなのも分かるが)
その目には見えぬ、言葉にもいえぬ
その’思い’や’価値観’ そんなものを感じ取れるんではないかなとも思った。
もう思いが
なんだか熱すぎて
まだまだ書きたいことはいっぱいあるんだけど
とにかく野良着はすごい!
その一枚には、一人の人が人生をかけ何をしてきたのか
どんな心を持っていたのか、何を感じ何を見てきたのか
そんな事が、エネルギーとして入っているのだと思った。
だから、その文化をしる
その一枚をしる、触れると
ばば~~~~~~ん!と魂に鳴り響くものがあるんだと思う。
世界中にもこの様に様々な野良着とおうものが存在するのであろう。
それでも、そんな文化を持ち合わせた日本に生まれたことがとても光栄だし
是非 是非・・・・ぜひ!!!
もっと知りたいし、実際にその感覚を体で味わいたい。と切に思う。
そしてこの本のほかのシリーズの紹介も最後に乗っていたんだけど
こんなにひとつの’もの’ ’こと’に対し様々な方が一冊の本としてまとめあげ
そこから見える世界があることにとても微笑ましいというか、
胸に打たれるというか、すごい!というか
ひとつの’もの’から見える文化や暮らしの様子
そして教えてもらえる感覚や感情、大切なこと
その数の多さや、深さ
もうとにかくすげーーーーーーーー!と
読み終わる前から
すでに感動をしている。
とりあえず
今とてつもなく感動して書きたくなった。
写真とか
もうあとでいれよ。
とりあえずこれであげておく。
あ~あとこの著者の福井さんという方は1932年生まれということは現在90歳
ご存命なのであれば是非・・・・ぜひ一度あってみたいと強く思う。
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