実は’手間’や’大変なこと’が一番の宝なのかもしれない

日々、田んぼの草取りをしながらおもうこと

これは
とても手間であり、時間のかかることであり
日々の膨大な積み重ねであり
まさに骨の折れる仕事かもしれない

そして一人では到底できないことである

協力できる人々と
ともに田に入り、とにかく取っていくしか方法はない。

そんな作業をともにしながら、雑多に色々な話をしながら
鳥の声をききながら

そこにいる虫や、触る土の感触や、空気や気温の違いを感じながら

思った。

たぶん農薬が悪いのでないのではないか。と
農薬にかぎらず、機械化や様々な発明、開発、発展

一見手間や労力から解き放たれ、経済面的にも助けとなり
人々の求める効率の良さや、自由な時間が手に入れられたかのように
おもうが

無農薬がいいよね！と言われがちになり始めた現代
一般的な’農薬があまりよくない’と言われる健康面での理由よりも

一番悲しいことは

実はもしかしたら
この’手間’という時間を奪い取られてしまったことが

一番悲しいことなのかもしれない。

’ともに作業をする’

こういう暮らしを選ぶと

共にという時間が必ず日常に含まれる。

身体を使って実際手にふれ、足を使い
目の前の小さな動きや変化を無意識に敏感に感じ取り
疲労感や嬉しさ、悲しさ、大変さ
沢山の感情を味わう

そんな時間は’手間’な中にあったのかもしれない。

その時間を、人間から奪ってしまったことが一番の悲しみかもしれない

極論であるのは十分承知している。
苦労をしらないからそんな呑気なことがいえるんだと言われてしまうかもしれない。

私は子供の頃から何十年もやっているわけではないので
その苦労や大変さをもちろんしらない。

だから偉そうなことも、わかったような事をいうべき立場でないのも
十分承知している。

だけれでも
実際身体を使い田に入っていると
そんな感覚に襲われるのだ。

こういう時間をすごしていると

この草取りという時間は、とても心が満たされていることに気づくのだ。

とてもシンプルなのだ。

米を育てたい。
草が生える。
取る。

とても心地よい感覚がそこには、確実にあるのだ。

理由はわからない

だけど人間が理由なく心から、心地よいと感じる心には嘘はないと思うのだ。

そして皆と作業をし話していると、

なんなら今生えているこのコナギ達も、
こうやって私たちが結で作業ができるようにと
わざわざ生えてきてくれているのかもしれない。

そのひとつの理由やきっかけになる為に、生えてきてくれているのかもしれない。

そんな事さえ思いはじめた。

現代はあまりにも
効率や便利が優先されてきた。

それはすごいスピードで。

それも元は確かに優しさから生まれた流れであるかもしれない
皆がもう少し楽に暮らせるようにだったり
経済的に安定できるようにだったり

助けられたことだって

様々あるとおもう。

だけれでも
やっぱり思う。

この手間と言う時間の中にある
貴重で贅沢なものを
奪い取られてしまっては

それを知らなかったり体感をしたことない世代にとっては

どうやって
どこに
それを探せばいいのか
見つければいいのか方法がわからないのだ。

体感の中でしか味わえない形のない本来の幸せや平和の感覚を
一度も触れたこともない、知らないものがどうやって
感じ取れというのだろうか。

その貴重なものを奪い取ってしまったことは
本当に悲しいことであるのかもしれないと。

一度触れているのであれば、別の暮らしの中でも
応用をきかし、見出すことはできるかもしれない。

それは人生の先輩方と話をしてると感じるのである。
沢山の’手間’という時間を受け入れて、ただひたむきに身体や心を使ってきた
皆様はいつでも、その感覚にすぐに舞い戻ることが可能であり
だからこそ、そのお心に触れる時
それを受け取るこちら側の命も喜ぶ感覚がある。

だけど、まだ体感すらできてないのに

そういう風に平和に生きなさい
大切に生きなさい
自然に優しく生きなさい
などなど・・・・・

わからないよ

方法がわからないと思うのだ。

せっかくこの世には
生きる為に必要な何百という’手間’という宝が与えられているのだから
味わうことが
必要なのではないか。

そんなことを、
この先終わりのなさそうに一見見える
でも確実に前に進んでいる草取りをしながら

思うのでした。

そして、そんな作業の中にはどんなに頑張っても思うように実らなかった米や
天気の違いで思い通りにいかないことも恐らく沢山あったでしょう

悔しかったり
やるせなかったり
という

失敗という経験もあったかもしれない。

そんな上手くいかないことに向き合う失敗という経験すら
体験させてもらえていたのが
そんな自然の中で生かせて頂く暮らしにあったのかもしれません。